『ピダハン』
久々のブックレビュー。
今回は、アマゾンに住む少数民族、「ピダハン」についての科学ノンフィクション。
言語学者でありながら伝道師のアメリカ人ダニエルが、未知の文化、言語に飛び込み、
アマゾンで暮らす彼らの生活を明らかにしていく。
このピダハン、学者の中では「パーティーに投げ込まれた爆弾」と言われるほど衝撃を与えたらしい。
確かに、異質な点は多々見られる。
数、色、左右など、僕らが当たり前に使っている概念が、彼らには存在しない。
現象を一般的なカテゴリーで括ることを嫌い、直接見聞きしたことを生き生きと表現する言語を使う。
そして、みんなが当たり前のように「精霊」を見、話をする。
彼らに特徴的なのは、
「いま起きている生活に強烈なスポットライトが当てていること」、
「一人一人が過酷な環境の中で、自分の身を守り、みんなと協力し、生き抜いていく力がある。そしてそんな自分たちが大好き」ということ。
マラリアがある。
ゴキブリやタランチュラもウロウロしている。
原題のタイトルである「Don't sleep, there are snakes. 寝るなよ、ヘビがいるから」は、「おやすみ」の代わりに警告しあう言葉らしい。
そんな中でも、とびきり愉快に、笑顔を絶やさず生きているピダハンたち。
彼らには「心配」も「後悔」もないのだ。
そんな彼らを前に、宣教を迷い始めるダニエル。
行き着く先は・・・
伝道師ダニエルが、「なぜ私がここに来たか知っているか」と聞いたとき、
ピダハンのひとりは次のように答えた。
おまえがここに来たのは、ここが美しい土地だからだ。
水はきれいで、うまいものがある。ピダハンはいい人間だ。
気になった方はぜひ。